photo / text:@raytokimatsu
おばあちゃん家へ向かう電車。
景色がぱっと田園風景に変わる瞬間がある。
眩しさで一瞬視界が真っ白になった後、稲の薄緑、突き抜けるような空の青、もくもくと浮かぶ入道雲の白が視界を彩る。
子供の頃と変わらない、「もう少しでおばあちゃん家だ!」という高揚感が、いつもこの場所でやってくる。
おばあちゃん家の最寄駅は無人だが、綺麗に改装されていて、そこにおばあちゃんが車で迎えに来てくれるのも昔と同じ。

今回は妻と訪れた。結婚の報告をするためだった。
おばあちゃんと運転を変わり、妻も車に乗り込んで、YAOKOというスーパーに昼食の買い出しに行く。
豪快にお惣菜をカゴへ入れていくおばあちゃん。
その姿に、妻と会って少し緊張しているのだと気づき、思わず愛おしさを感じた。
家に着き、妻が手土産の最中を渡す。(虎屋の最中って本当に美味しいですよね)
おばあちゃんはそれを仏壇に供え、「れいくん(私の名)が可愛い奥さんを連れてきたよ」とおじいちゃんに声をかけた。

妻と一緒に線香を立て、手を合わせて目を瞑った。
買ってきたお惣菜を綺麗に並べて、三人で食卓を囲む。
少し物忘れが増えたかな?というおばあちゃんに寂しさを覚えながらも、再会の喜びの方が大きい。
昼食後、おばあちゃんが手早く丁寧な手つきで梨(もう1人のおばあちゃんが私に贈ってくれたのをお裾分けした)をむいてくれた。
持ってきた最中、熱々のお茶と一緒に食べて満腹になる。

訪れたのは千葉県成田付近にある母方のおばあちゃんの家で、妻はそのあと成田空港発で友人と旅行に行くことになっていた。
せっかくなので、妻と20分ほど散歩に出かける。
散歩から戻り、少し汗ばんだ妻は、「すみません…」と気恥ずかしそうにお礼を言って、シャワーを浴びる。
汗を流す妻を待ちながら、ふと、この家に妻がいることが新鮮に思えた。

気がつくと妻が出なければいけない時間になっていて、
「ありがとうございました。またきます。」
「はい、またいつでもきてくださいな。」
と挨拶をして、空港まで送り届ける。

妻が友人と合流したのを見届けて、おばあちゃん家に帰る。
同居している叔母も帰宅していて、手の込んだ料理を用意してくれていた。
自家製ココナッツカレーとピクルス、仕事帰りに買ってきてくれたというバナナケーキを食べる。
3人で世界陸上をぼーっと眺めてお腹を落ち着かせた後、ステンレス製の、昔ながらの浴槽が備えつけられたお風呂に入った。
風量弱めのドライヤーで髪を乾かし、色褪せているが手入れの行き届いた布団に包まれ、いつもより深い眠りについた。

(Rayのひとりごと)
⚪︎おばあちゃん家、またすぐに行きたいな。
⚪︎父方のおばあちゃんにも会いに行こう。
⚪︎昔ながらのステンレス浴槽、好きだなあ。